“『レイジングループ』トークイベント 休水集落新年祝の儀”参加感想

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【概要】

・2019年1月26日、ケムコの人気ADV『レイジングループ』のトークイベントが阿佐ヶ谷ロフトAにて開催された。


・登壇者はamphibian、赤野工作(工作員)、カワチ、ラー油(敬称略)。ほか、ケムコ広報担当者、ホビージャパン編集担当者。


・イベント中のツイート及び写真撮影はOK(ただし工作員氏の顔は除く)。動画配信は禁止。


・イベントの趣旨としてはレイジングループ完全読本の販売促進であり、イベント終了後に完全読本購入者へのサイン会が行われた。


トークコーナーでは、amphibian氏によるレイジングループ制作秘話を始めとして、工作員氏ほかライター諸氏のプレイ感想、完全読本の裏事情など、ファン心理をくすぐる暴露が満載。また、質問コーナーでは事前にツイッターハッシュタグで募集していた質問に加えて、会場内のアンケート用紙で募集した質問に対するamphibian氏の回答が行われた。


・質問コーナーにおいて、amphibian氏によるレイジングループのノベライズ、およびアンソロジーコミック化が発表された。


・開催記念メニューとして、「烏頭ソーダ」や「ポテト餅の昆虫食添え」など、ユニークな5種類の飲食物が提供された。また注文数に応じて、限定コースター(全3種)と、トーク終了後にグッズ抽選会で使用する抽選券が配布された。


・グッズ抽選会では、レイジングループLINEスタンプデザインシール+ホビージャパン限定タオル(5名)、販促ポスター(10名)、PS4パッケージソフト(2名)、サイン入り完全読本のカバーと帯の色校(2名)、完全読本表紙デザインアクリルボード(1名)、広島カープのカレンダー(2名)が各当選者に手渡しでプレゼントされた。


・物販コーナーでは、限定グッズである黄泉忌みの宴缶バッジセット(1人2セットまで購入可)のほか、サイン会への参加資格が付いた完全読本、あの仏舎利ロックも完全収録のオリジナルサウンドトラックが販売されていた。

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***


【会場の雰囲気】


チケットが完売しただけあって、さほど広くない会場内の人口密度はぎっちり。男女比は体感で6:4程度。

レイジングループのオープニング、エンディング、しんないもうで等のBGMが流れる中、チケットの整理番号順に入場し、自由席なので好きなように座る。

初対面同士の相席によって、「どのキャラが好きですか?」「清之介ですね」などといった初々しい会話があちこちで生じていたようだ。

終始和やかな雰囲気で、席は窮屈ながら居心地は良かった。

自分と同じように作品を愛するファンの数が現実のものとして可視化されたことが、イベント後の充足感に繋がったと思う。

 

 

【開催記念メニューの感想】


とりあえず全部一通り頼んでみた。

※烏頭ソーダはノンアルコールとアルコールがあったが、頼んだのはノンアルコールのみ。


・烏頭ソーダ(ノンアルコール)

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見た目は緑色で、口に含んだ瞬間の印象は見たままメロンソーダだが、飲み下すとマイルドな甘みが口に広がったまま残り、メロンソーダとは違った印象になる。本物の烏頭(=トリカブト)は入ってないだろうが、材料が気になる。美味しかったのでまた飲みたい。


・コンビニ店員おすすめの眠気覚ましミントティー

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ミントが香るホットティー。ミント入りのスイーツなどはあまり好きではないのだが、これは後味が爽快で普通に美味しかった。


・非常食にはコレ!バランス栄養食のアイス添え

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カロリーメイト1個にバニラアイスが添えられたスイーツ。

(バニラアイスにカロリーメイトが添えられているように感じられるが、メニュー名を鑑みるにあくまで主役はカロリーメイトなんだな…)

普通に美味しかったが、個人の嗜好としてチョコ味以外のカロリーメイトがあまり好きではないので、プレーン味だったのが嫌だった。

以前、チョコばかり食べていて他の味を食べないのは勿体無いのではないかと思い、カロリーメイトプレーン味を30箱まとめ買いして毎日食べていたのだが、全然好きになれず苦行だった。

今はカロリーメイトチョコ味を30箱まとめ買いして毎日食べている。


・キューコも食べた!?ポテト餅の昆虫食添え

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誰得?俺得です。コラボメニューにあえて昆虫食を起用した英断に拍手を送りたい。

ただ、会場では「ポテト餅の昆虫食添えはあまり人気が無いようなので…皆さん虫が好きだと思ったんですけど…是非注文して下さい」というアナウンスがあった通り、人気は然もありなんというところ。

ちなみに昆虫の種類はランダムらしく、相席になった人の昆虫を見たら自分のとは違って甲虫だった。羨ましい。

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↑隣の人の。撮らせて下さりありがとうございます。


・藤良村産イノシシの特製カレー

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入っていたのはイノシシ肉ではなく普通の豚肉だったのではと思うのだが、普通に美味しいカレーだった。他に書くことがない程度には特に攻めた要素は無い普通のカレーだったように思うが、マジで普通にイノシシ肉だったらどうしよう。

 


メニューに関しては以上。

 

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↑コースターは主にりかこさんの被りが激しく、羊さんが1匹しか出なかった。だが全種揃った。

 

 

【登壇者入場】


突如として大音量で流れ始める仏舎利ロック

面食らっていると、amphibian氏を筆頭とする登壇者らが入場。

中でも目を奪われたのはラー油氏の出で立ち。

彼はツイッターアイコンがグレイ型宇宙人なのだが、まさかアイコンそのまま宇宙人の被り物をして現れるとは。(素顔は最後まで不明だった)

前は見えていたのだろうか……。


登壇者全員が烏頭ソーダ(アルコール)をオーダーし、グラスが行き渡った所で、乾杯の音頭はamphibian氏に任される。

「をちもどり」や「をちなかれ」ではいきなりイベントが終わってしまうということで、「きりたった」で乾杯。

 

 

*来場者アンケート「どの機種でプレイしましたか?」

まず、来場者に対する挙手制アンケート。

最も多かったのはスイッチ版のプレイヤーで、ケムコ側としても想定通りの結果だったらしい。

私はレイジングループを勧めてくれた親族の家でスイッチ版をプレイし、帰路でPS4パッケージ版を購入したのでやや特殊な気がするが、PS4パッケージ版のユーザーとして挙手した。

 

 

【レイジングループ制作秘話】


質問コーナーにおける関連回答の内容も混ぜて記載する。


・最初は3人体制で、今は2人体制で作っている。ケムコ社内においてメインで携わっている人員はとにかく少ない。


・レイジングループが何故人狼モノになったのかというと、若い社員が「今なら人狼いける!」と案を出したのがきっかけ。


・作品作りのモチベーションとして、人狼ゲームへのアンチテーゼがあった。

以前「タブラの狼」という人狼ゲームを買った時に、ゲーム屋の店長が「このゲームは、僕はあまり好きじゃない。楽しめる人がいる一方で、楽しめない人もいるから」と言ってたのが心に引っかかっていた。実際大学でプレイした時は、男達が盛り上がっている中で、女の子はドン引きしていて、確かに全員が楽しめるものではないと思った。

そんな人狼ゲームを、人間の醜さや虐めなどのテーマと絡めて、デスゲームの題材としてまとめたかった。

プレイした人に人狼ゲームのアンチになって欲しいわけじゃないが。

「暗黒」ルートまでは良かったけど以降がダメだったという評価の人はわりといて、そういう人はレイジングループの「人狼ゲーム部分」だけが好きなんだなと。


・書き始めの頃はまだ、話の大枠しか考えていなかった。宴では誰が死ぬのかということも決めておらず、かみさまの正体についても考えていなかった。

かみさまが出てきた時に、「あれは一体何なんだ」といった陽明の台詞がやたらと出てくるのは、その時点でまだかみさまの正体が決まっておらず、実際に自分が「こいつは何なんだ」と思いながら書いていたから。


・シナリオは十ヶ月くらいで書いた。量としては2メガ程度。同時にRPGのプロデューサーもやってたので、執筆が中断することもあった。


・シナリオ上のバグが発覚し、大幅な書き直しが発生したことがあった。宴で決選投票をせずに「今日の宴は失敗だ!」と巻島さんが怒って出て行ってしまう所で終わっていて、「これ宴してなくない?」と言われて気付き、慌てて書き直した。


・ボイス収録が押していたため、満足に推敲が出来なかった。そのため、自分としてはテキストが荒削りなままだと思う。


・レイジングループは「シナリオありき」でキャラクターを作っていて、所謂「キャラクターノベル」にはしたくなかった。これまでの作品では「こんな人間いねえよ」と書かれることがあって悔しく思っていたから、「普通の人間」が書きたかった。


・人の死はグロいものという認識があったので、死を扱うからにはとグロを描いたが、個人的にはグロ描写が特に得意というわけではない。


・この事件はめー子がいなくても解決していたが、めー子がいたことでオチが変わった、という話。


・元々は美辻エンドにしようとしていたが、他者の意見を取り入れて千枝実ルートにした。

他に、かおりさんルートや上藤良ルートの構想もあった。上藤良ルートにしか出て来ない長者サイドのヒロインがいて、色々教えてもらえるというような。


・amphibian「何故か多恵ばあルート入れろよって執拗に言ってくる人がいるんですよ!

まあ、上藤良ルートで、美少女だった頃の過去多恵ばあに突然出会うというような内容も面白いかもしれないですね、今思うと」

 

 

*房石陽明について


・陽明がループをする度に狂っていったという解釈もあるが、実際にはそうではなく、彼はずっと平常心で、次第に演技を辞めていった。


・「全ルートを埋めたい」と考えるゲーマーのような思考回路を持っている。


・陽明がツイッターをやるとしたら、まず極力短い単語でIDを取ろうと試みる。そして、あまり呟かない。彼は、ネット上でのペルソナをさほど重視しない。


・モデルにしたキャラを挙げるなら、鈍色のバタフライ(amphibian氏のデビュー作)のつばさ。


・文系学部を中退して本を書いて成功した人。


・陽明的に、かおりさんはイケる。多恵ばあは無い。

 


【完全読本についてのトークコーナー】

 

完全読本の台割表、amphibian氏による校正コメントのテキストファイルなど、貴重な内部資料がスクリーンに大写しにされていく。

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このタイミングで、事前に配られた封筒を開くようにと司会から指示があった。

封筒を開いてみると、中からは完全読本に掲載されている工作員氏の小説を印刷した紙が1枚。

なんと、初稿版である。

あとで掲載版と比較して違いを発見してみたい。

 

 

*来場者アンケート「どのキャラが好きですか?」

完全読本のキャラ紹介ページをスクリーンに映しつつのアンケートタイム。

一番人気はやはり……圧倒的に、能里清之介だった。

工作員氏も清之介のファンらしく、「服さえあれば清之介のコスプレをして登壇したかった」「キヨくんは、守ってあげたい」などと熱く語っていて面白かった。

amphibian氏は、「本当は、凄く嫌な奴なんだけど仕方なく憎めないようなキャラにしたかったのに、自分の八方美人な所が出て、良い奴にしすぎてしまった」と悔しそうに語っていた。

自分は回末さんが好きなので回末さんに入れたが、キヨ人気もよく理解できる。

 

 

【質問コーナー】

 

amphibian氏は、脳を高速回転させつつ素早く言葉を選び取って喋っている、というのが目に見えて分かるような話し方をされていた。大人の事情で答えにくい質問が多かったのか、苦しげな顔をされる場面も多かったが、聞く方も楽しかったので話す方も大変ながら楽しかったのではないかと思う。

度々多恵ばあルートに関する質問が入っていたが、その度に会場がウケていたのは言うまでもない。

 


以下、抜粋。


*(ケムコ以外で)好きなADVは?

ラー油「街」

カワチ「ライフイズストレンジ」

工作員Ever17(エバーセブンティーン)」

amphibian「吸血殲鬼ヴェドゴニア」 

 

 

*おおかみ3人の構成はどの組み合わせが最強?

どんな組み合わせでも書ける。が、強いていうなら匠さんが欲しい。橋下さんや泰長を狼に回したら手強いんじゃないかと思われるかもしれないが、実際はそう単純でもない、彼らは道徳心に縛られているから。

 

 

*作中世界に人狼ゲームはある?

作中世界は2003年なので人狼ゲーム自体は存在するが、まだ知名度はないといったところ。最初は現実の人狼ゲームと絡めるというアイディアがあり、謎のロシア人が過去の宴に持ち込んだ、というような設定にしようかと思ったが、おこがましいのでやめた。

 


*休水のその後は?

観光地になっている。

ホテル(旅館)が作られ、オーナーは春ちゃん、臣下はモッチーが務める。

他に、休水メンバーでバンドを結成するとかも考えた。多恵ばあがラップやるとか。匠がアレンジしたしんないもうで歌うとか。

 

 

*しんないもうでの元ネタは?

元ネタと言うほどの物はない。ただ、音楽的にはとおりゃんせ等を参考に、発想はデッドスペースやサイレンなどから来ている。回末さんがしんないもうでを歌うシーンは、デッドスペースのOPでキラキラ星を歌うやつのオマージュ。

 


*キャラの身長体重スリーサイズは?

そういったキャラの細かい設定を考えていると辛くなってくるから、細かく考えていない。最近はスリーサイズ警察とかもいるので。

キヨは痩せ型ではなく中肉中背。あまり背が高いと田舎感でないかなぁと。

 


*メディアミックスや次回作については?

こうした質問はやはり多く、amphibian氏はその度に渋い顔で即スルーしていたのだが、最終的には「小説とコミックアンソロジーが予定されている」と暴露。

また、レイジングループの次回作はあるかもしれないが、人狼モノでの続編はないとも発言。

 


*「やっぱり…ここにいるみんなでデスゲームをしなきゃいけないのでしょうか?」

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※特にデスゲームは始まらなかったが、質問者以外の全員の腹筋は殺されたので、質問者が勝ちでいいと思う。

 

 

【グッズ抽選会】


賞品は以下の通り。


・レイジングループLINEスタンプデザインシール+ホビージャパン限定タオル(5名)

・販促ポスター(10名)

PS4パッケージソフト(2名)

・サイン入り完全読本のカバーと帯の色校(2名)

・完全読本表紙デザインアクリルボード(1名)

・広島カープのカレンダー(2名)


いや最後のカープカレンダーは一体何だよと、誰しもが思うことだろう。

まず、ケムコは広島にある。amphibian氏も、このトークイベントのためにわざわざ広島から東京へとご足労なさったわけで。

そのケムコが、自社ロゴを入れた広島カープのカレンダーを毎年作っていて、それが社内に余っていたので持ってきたらしい。

なるほど。

レイジングループのグッズをくれ。

 


とまぁ、自分は野球に興味が無いので、この中で広島カープのカレンダーだけは当たってくれるなと願っていた。すまん、カープ

なお、カープの神に愛された当選者2名は賞品受け渡し時に推しの球団を聞かれていたが、ベイスターズです」「タイガースです」と答えていた。完。


このラインナップの中では、(一等を除けば)LINEスタンプシールが欲しかったのだが、それどころではない物が当たってしまったというのが結末。

今回、コラボメニューの商品を6品ほど注文したので、2品目から貰える抽選券が5枚手中にあった。

流石に5枚もあったら販促ポスターくらいは当たるだろうと思っていたのだが、最後まで番号を呼ばれず。

 

いや、一つは当たれよ…普通当たるだろう…もし当たらなかったら報われないな…と思っていたら。

 


最後の最後に、当選した。

 


amphibian氏からラー油氏へ、そして自分へとリレーされた、完全読本表紙デザインアクリルボード。

 

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欲しかったので、当たって嬉しかった。

とても綺麗で存在感がある。大切に飾ろう。

 

 

【宴の終焉】


抽選会も終わり、いよいよラスト。

amphibian氏による締めの挨拶は、

「をちなかれ」

皆で「をちなかれ」を復唱し、トークイベントは閉幕した。

 

 

【総評】


今回のイベントでは、メニューもトークも非常に楽しめて、濃い時間があっという間に過ぎていった。

自分は成人してから暇潰しに拙い文章を書くようになったが、だからこそ思う。

レイジングループは何と凄い作品なのかと。

奈須きのこ氏などの作家陣や、ライターである登壇者の方々が推薦する理由も分かる気がする。

工作員氏の

「この出来に対してこの知名度はいかんぞと思っている。ここにいる皆さんもそう思ってるはず」

「レイジングループの話をしてえんだよ。してえんだけど、遊んでもらわねえと出来ねえんだよ。遊べよ!!」

という熱のこもった発言が全てだ。ワイトもそう思います。

この面白いゲームがもっと世に知られて、この面白いゲームを作った人がもっと報われるよう願う。

 


レイジングループの今後の展開に期待し、引き続き応援していきたい。

とりあえず小説とアンソロジーは確実に買うから、いつか映画化してくれよな!!

 

をちもどり、ドン☆